みかづき通信

本の紹介、『架空の夫と』の読書日記、日々の生活の記録を残しています。

『とにかくウツなOLの、人生を変える1か月』(はあちゅう/著)

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 人間であることを楽しむってなんだっけ?

 

 本書を読んで、この答えに現在進行形でたどり着けない自分に愕然としている。

 本書の中身は、小説と自己啓発を上手く組み合わせた「自己啓発小説」。
文章は小説形式なので、「自己啓発本は難しくてちょっと……」という人でも

読みやすい。

 語られるテーマはダイエット、仕事、時間、お金、人間関係、恋愛。
 小説なので多少、話の流れは乱れるが、プロローグの後は自分の人生で優先順位の

高い悩み順に読む、という読み方もある。
 悩みごとの優先順位がつけられない人は、順番に頭から読んでいけばいい。

 

 さて、物語の主人公、奈緒は受験に失敗し、就職にも失敗したことで日々、自分の仕事や人生に対して憂鬱とした気持ちで過ごしているOL編集長。
(タイトルの「ウツなOL」のウツはうつ病ではなく、鬱々とした気持ちの「ウツ」)
 そんな奈緒がメンタルジムのカウンセラー、ヒカリと出会う。
 ヒカリに毎回美味しいお茶を出してもらいながら、自分の内面と対話し、新たな視点を得ていく。
 そんな奈緒の言葉で、特に頭にガツンっときた一文がある。

生活に「人間であることを楽しむ」という視点はあっただろうか。

 

 もう、この文章を読んだ時、世界がぐるりっと反転した。
 私はいつの間にか「効率至上主義」に取り込まれて、自分が「一人の人間」であることを楽しむ、なんて考えなくなっていた。
 私の心と体はロボットではなく、ナイフで切り裂けば肉が見え、

血が流れる人間なのに。
 こんな当たり前のことも見えなくなっていたなんて。
 本書を読了し、本を閉じた後もこの文章が頭の中で、ぐわんぐわんと反響し、記事の冒頭へと繋がる。

 本当に、自分はどれだけロボット思考で生きてきたのか痛感した。
「人間であることを楽しむ」それだけのことに、これほど頭を悩まされるとは……どうやら、私はかなりの重症だ。
 ヒカリさんのカウンセリングが今すぐ必要である。

 

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