みかづき通信

本の紹介、『架空の夫と』の読書日記、日々の生活の記録を残しています。

冬に色がつく

冬には色がない。

一面雪に埋めつくされている日などは世界は少し灰色がかった無色に見える。

味気なく、暗い。

 

それが、北海道で生まれ育った私の感覚だ。

ちらちらと降る雪ならまだ可愛げがあるから、わくわくする余地があるがどかどかと雪が降れば一日中雪かき作業に、追われる。

雪かきという作業も、授業で受けるスケートもスキーも嫌いだったから、雪の良さがわからなかったのだろう。

 

高校生の頃に、親戚のいる東京に旅行したことがあった。

東京の冬はその時が初めての体験で、私は心底おどろいた。

冬なのに椿が咲いているのを見つけたのだ。

冬に、花は咲かないものだと思いこんでいた私の目に飛び込んできた鮮やかな椿色。

興奮しながら、携帯で写真を撮った。

よく見ると木にも緑の葉がついているものがある。

 

「東京の冬って、すごい!」

 

高いビルでも、人の多さでもなく、色のついた冬の景色に馬鹿みたく心がはしゃいだのを、今でも思い出せる。