みかづき通信

本の紹介、『架空の夫と』の読書日記、日々の生活の記録を残しています。

朝を食べる

ティファニー」という天上人が身にまとうブランドがあるのは知っている。

 素敵なブルーがブランドカラーなのも、なんとか知っている。

 しかし、私が「ティファニー」について知っているのはそこまでだ。

 そもそも、何をメインに売っているブランドなのかも知らなかったりする。

(この記事を書くにあたり、調べてみたらジュエリーや食器などを作っているブランド……らしい)

 

 高級ブランドと日頃縁のない人間は、「ティファニー」についてたいして知らなくても、案外生きていけるものである(だが、やはり恥ずかしさは感じてしまう)。

 

 私にとって「ティファニー」と言ったらオードリー・ヘップバーンが出演している映画「ティファニーで朝食を」の方が身近に感じる。

 その映画も成人してから一回観ただけなので記憶があやふやではあるが、オードリー・ヘップバーンは一度もティファニーで朝食を食べていなかった気がする。

 タイトルと女優さんのイメージから、さぞかしお洒落な朝食映画なのだろうと思っていたがそんなことはなかった……はず。

 

 映画を観てからさらに時は流れ、2022年の6月。

 今更ながら日本の漫画「いつかティファニーで朝食を」をピッコマ(漫画配信アプリ)で読み始めた。

 ドラマ化もされ、当時さんざんテレビで取り上げられていたのにいまいち「食漫画」にピンッときていなかったので今の今まで素通りしてしまっていた。痛恨すぎる!

 

 

 なぜ、今になって「いつかティファニーで朝食を」を読む気になったのかというと、最近の私は「食べること」を楽しめていなかったからである。

 

 毎日、毎日、流し込むように特に食べたいでもない食べ物を食すのはなんとも味気なかった。

 昔は、食べることにわくわくしていたのに、だ。

 

 このままではテキトーな食べ物をテキトーに食べて終わってしまう。

 そんなのは嫌だった。

 まずは、自分の胃袋とよく相談し「食べたい朝食」を作ることから始めてみることにした。

 

 ネットで「朝食 簡単レシピ」と適当に検索していると「焼きおにぎり」が気になった。

 それは、味噌・砂糖・みりん・ごま油を混ぜて作ったタレをおにぎりに塗って、オーブントースターで焼くという、さほど手間のかからないレシピだった。

 

 私はさっそく早朝から米を炊き、炊きあがった白米でおにぎり(レシピにはなかったが、中にチーズを入れてみた)を握る。

 タレを両面に塗って、オーブントースターへ突っ込む。

 焼き目がつくまでの間、大好きな玉子焼きを焼いた。

 我が家で玉子焼きといえば、なめ茸瓶のなめ茸が入ったものである。

 かんたんに味がしっかり決まるし、美味しいのだ。

 それからもう一品、肉が欲しくて、冷凍庫からミニソースかつを取り出し、電子レンジでチン。

 すべてが手作りである必要性を私は感じないので、これでよい。

 

 あとは、食事のお供にスーパーで売っているお手頃価格なほうじ茶を淹れた。


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 あいにく天気はくもり気味だったが、庭のテーブルに朝食を運ぶ。

 

「いただきます」と手をあわせて、玉子焼きを一切れ。

「あ、これ好きな味だ」と思いながら、口の中を空っぽにし、温かなほうじ茶を一口。

 安い茶葉だし、すごく丁寧に淹れたわけじゃないのに……おいしい。

 

 久しぶりに、満足感を覚える朝食だった。

 私の周りには、ゆったりとした時間が流れており、

「ああ、朝を食べるから「朝食」なのか」

と、妙に納得した。