「しかしたったひとつだから、よくよく考えた方がいいよ。可愛い妖精のお嬢さん」
結構前に 『ノルウェーの森』で村上春樹に挫折したのだが、今年の誕生日に友人から
この『バースデイ・ガール』をプレゼントされた。
鮮やかなアート調の挿絵が入っていて、ページ数もそれほど長くないので、
「これなら私も読めるかも!」と思い、読んでみたら面白かった!
「なるほど。これが村上春樹節なのか」と、彼の独特な台詞や表現を
短編でしっかり味わえる。
ストーリーは、二十歳の誕生日にウエイトレスの仕事が入ってしまった女の子
が、一度も姿を見たことのないオーナーと『願い事』に関する会話をする、
というもの。女の子が何を願ったかは、最後まで明かされません。
もう私は二十歳じゃないけど、もし、「ひとつだけ」願い事が叶うのなら……
と真剣になって考えたけれど、なかなか難しい。
「お金に困らない生活がしたい」
「幸せになりたい」
「良いパートナーと出会いたい」
「うつ病を治して、心穏やかに暮らしたい」
「痩せて美しくなりたい」etc……
考えだしたらキリがない。
でも、もしも本当にひとつだけ願いが叶うなら私は、
「あー、最高の人生だった。やり切った!」と思う人生を送りたいかも。
うつ病になったのも、「最高の人生」へ向かうための
一歩だったのだと思えるくらいに。