ようやく、「書く人はここで躓く!」(宮原昭夫)を読み終わった。
本書は、小説の「書き方」ではなく「作り方」について記されている。
著者も言っているが、これは小説の「ルール」ではなく「マニュアル」の書。
・どうにもうまく書けない人
・どう書いたらいいかわからない人
・書けたけど読者の反応がよくない人
向けに書かれている。
この三つは、よほどの天才でない限り、「書く人」がいずれはぶち当たる壁ではないだろうか。私も、ちょうど今、この壁をどう攻略しようか悩んでいたのだが、本書を読んで「小説の作り方」について得た気づきがあった。
その一つが、「説明」と「描写」の違いだ。
この二つの違いは私の中で曖昧だったのだが、著者は明確に教えてくれている。
例えばある「とある花」を説明するなら「美しい花」、描写するなら「紫色の小さな花」と書けばいい。
描写の強みなのだが、「紫色の花」と描写すると読む人の、その時々の立場や心境によって読み方が何百通りにも変化する。逆に、「美しい花」と説明してしまうと、読み方は何百回読んでも「美しい花」でしかない。
読書とは「演奏」なのだそうだ。
読む人は、文章という楽譜からストーリーを頭の中で演奏していく。
同じ本を読んでも、感じ方が違ってくるのはこれが理由だろう。
この読み手の「演奏」を邪魔しない、かつ、豊かなものにするには描写はとても大事なものだ。
安易に、説明に走りがちな自分の小説の文章を読み返して、猛烈に反省し、今後の改善点が見えた。
この他にも「小説の作り方」について気づかされた点が多々あった。
著者の魅力的な文章で、わかりやすく例を交えながらの講義はとても有意義であり、
「なぜ、こんなにも素晴らしい本を積み本していたのか!」と後悔した。