みかづき通信

本の紹介、『架空の夫と』の読書日記、日々の生活の記録を残しています。

『月の眼の縁』斉藤壮馬

 河出書房新社から発売されている『スピン 2号』(330円/税込み)に掲載されている声優・斉藤壮馬さんの短編小説『月の眼の縁』は、自分に自信のない臆病な少女の視点で描かれている。

 

 彼女――ユーリには、「えみちゃん」という親友がいる。えみちゃんは、ユーリとは真逆な、すごく可愛くて文武両道なみんなの人気者。ユーリは、「えみちゃんの隣に立つ」ことを不相応と思いながらも、「えみちゃんの親友」というポジションを誰にも譲りたくないと日々葛藤している。そんな、彼女に、えみちゃんはいつも笑顔で「大丈夫」と伝えてくれる。

 だが、二学期のはじめにユーリたちのクラスに臨時の担任として、佐久間という容姿端麗な男性教諭が現れたことにより、ユーリとえみちゃんの関係は変化していくことになる。

 

 この小説で描かれている、主人公ユーリの気持ちは、思春期特有の友情と恋情の狭間にあり、ひとつの「百合小説(女の子同士の恋愛)」としても楽しめる。

 

 実際、私も終盤まで百合小説として読んでいた。だが、最後まで読了後してみると、著者の斉藤壮馬さんが描きたかったのは「内気な少女の友情と恋物語」だけではないように感じた。

 もっとゴシックで、儚くて、眩いほどの羨望。

 そんなキーワードが頭に浮かんだ。

「きっとこうなるんだろうな」と油断していると「あっ!」と不意をつかれる作品だった。

 

 物語の構成は、現在と、過去のえみちゃんとの思い出を行ったり来たりするが、読みにくさはない。むしろ、過去のパートがあることで物語に切ない月光が降り注ぐ。

 

 そして少女は最期の時まで、その切ない月光に照らされ続ける。

 

 この短編は、

・百合小説が好き

・幻想的なお話が好き

・ほんのり切ない気持ちになる結末が好き

 

な方におすすめです。

「架空の夫と」01/09〜13


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2023年1月9日(月)

 

角川文庫の『枕草子』を読み終わる。

また、『超訳百人一首 うた恋い。』シリーズを読みたくなった。

 

 

 

2023年1月10日(火)

 

昨夜から情緒不安定で、泣き続ける。架空の夫は、慣れたもので私の背中をさすりながら布団に寝かしつけてくれた。

 

夕方まで寝て、起きてから『本が語ること、語らせること』を読了する。

本を読んでいる間、しくしくと痛む胸が軽くなり、明日もほどほどに生きていける気がした。

 

 

2023年1月11日(水)

 

文豪とアルケミストのノベライズ『君に勧む杯』を読みすすめるが、なかなかに難しい文体。読み終えられるのか、ちょっと不安になりながら、鏡開きをする。

 

架空の夫が、小豆から作った汁粉。今年は甘めで美味しかった。

 

2023年1月12日(木)

 

朝に、フィットネスバイクを漕ぎながら『新版 ずっとやりたかったことを、やりなさい』の序盤を読む。

最初から興味深い。

 

架空の夫は「栗きんとん作ろうと思ったら、めちゃくちゃ手順が面倒くさい」と、へにゃってた。

 

 

 

2023年1月13日(金)

 

寒暖差のせいか、午前中は全然使い物にならない。

架空の夫に、ミルクティーとかコーヒーを淹れてもらう。

が、ポンコツ具合治らず。

 

『新版 ずっとやりたかったことを、やりなさい。』をゆっくり読み進めた。

 

 

「架空の夫と」1月2日〜1月6日


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2023年1月2日(月)

微熱が下がらない。夜も寒い日が続く。

しっかり体を温めなくてはいけない。

架空の夫が「お昼何食べたいる」と聞いてくれたので、「唐揚げ!」と即答。食欲は、ある。

 

最近、スケジュール通りに、何かをする(仕事や勉強、創作活動)のが極端に苦手なことに悩んでいるので、年末に電子で購入した『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本』を布団の中で読み進める。

身に覚えのある事例がいくつか載っており、原因と対策がわかりやすく提示されているのでありがたい。

 

 

2023年1月3日(火)

 

昨年からちょびちょび読みすすめている『本の読める場所を求めて』を、またちょびちょび読みすすめる。

ようやく、半分まで読めた。

 

私も、快適に本を読める場所が家にも欲しくて、まずは読書用のソファを買おうと、架空の夫と、うんうん唸りながら、無印良品のソファを買う。

 

一人がけのソファで、小さめなのだがデザインが素敵なのだ(ニコニコ)。

今年は、このソファに似合う読書部屋を作りたい。

 

2023年1月4日(水)

 

朝から昼まで病院へ。

初めていく病院で、緊張した。

病院では何故か本が読めないので、帰宅してから本を読む。

 

2023年1月5日(木)

 

仕事始め。

『本の読める場所を求めて』を読み終わる。

本を読んでるのに、本が読みたくなる素敵な本だった。

 

2023年1月6日(金)

 

何度読んでも挫折していた、角川の『枕草子』を半分まで読む。貴族社会を垣間見ることができる貴重なエッセイ。おもしろい。

 

 

 

あけまして、おめでとうございます

 昨年は、大変お世話になりました。

 本年もよろしくお願いいたします。

 

 と、テンプレートな文章を何の違和感なく書けるようになったのは、いつからか……。

 テンプレートな文章は間違いはないが、けれどそこには面白みも遊びもない。

 久しぶりに自分の言葉で、新年の挨拶をしてみようかと思います。

 

 昨年は山あり谷ありな一年でした。

 年末にかけて、婦人科で問題がみつかったり、何度検査しても「異常なし」の結果しかでない謎の体調不良に襲われたり。

 ネットで繋がった方たちから、「お前の言動は非常識だ。異常だ」と、丁寧に指摘されたりもしました。

「こちとら精神的に異常なのは遠の昔からわかってて、心療内科に通院してんだよ……ケッ!」

 と、不貞腐れもしました。

 時間をかけて「(失った信頼は)もうどうしようもないことだから、これからの新しい縁の方を大事にしていこう」と思えるように今はしています。思い出すと胃がキリキリしますが、指摘してきた方たちは「今頃、楽しくパフェ食べてんな! たぶん!」と想像すると胃の痛みも幾分かマシになります。

 

 また、楽しいこともありました。

 星々の140字コンテストで佳作を久々にとれたり、B型支援で在宅の業務(文章関係)につけたり。

 自分は、なにかを「創る」ことが大好きなんだな、と再確認できた年でした。

 

 そして、年が明けた本日。

 大晦日に父と衝突し、大泣きしたせいで朝からまぶたが重いです。

 今年こそは、脱・実家暮らしをする、と野望に燃えております。

 体力も、もっとつけたいですね。なにごとも、体が資本ですから。

 そして、自分の手でこの一年を、明るく切り拓いていきたいです。

 

 まだまだ未熟者ですが、どうか私も、皆様も躍進の年でありますように。

 

 改めて、あけまして、おめでとうございます。

『架空の夫と』12/26〜12/30

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12月26日(月)

 

年末の疲労が、ゆっくりと体に出始めているのを感じる。

今日は、架空の夫と一緒にマンションの内見をしてきた。

「とてもよかったね」と言い合うけれど、しっかりと働いていない私には結構ギリギリな家賃だった。

別の安いマンションを探すべきか迷う。

 

迷いながら夜はAマッソの加納愛子さんのエッセイ『イルカも泳ぐわい』を少し読む。

又吉さんもだが、芸人の文章はどうしてこんなに面白いのか。

同じ世界にいながら、見ているものが違うのだと感じさせられる。

 

 

12月27日(火)

 

いよいよ疲労が、襲い来る。微熱が出た。

病院の予約をキャンセルして、架空の夫にアップルパイを焼いてもらう。

 

部屋の中に漂う、甘い香りにうっとり。

こんな日には江國香織さんの『すきまのおともだちたち』が似合う。

初めて江國香織さんの小説を読んでいるが、不思議な物語で(でも安心する)熱で朦朧とする頭がかえってしゃっきりした。

 

 

12月28日(水)

 

江國香織『すきまのおともだちたち』読了。

うわ〜、これは好きなやつ。まだ、胸の中で咀嚼しきれない何かがある。それは一番輝いている小説の核みたいなもので、「一筋縄じゃいかないよ」と無邪気に笑ってる。

現実と非現実の境い目に立つ世界観が好きだなぁ。

 

架空の夫も、私も仕事納めだった。

 

12月29日(木)

 

寒くて電気毛布つける。

 

12月30日(金)

 

寝汗びっしょりかく。夕方に向かって熱が、でる。

年末はもしかしたら、布団で過ごすかも……としょんぼりしてたら、架空の夫がりんごを剝いてくれた。

おいしい。

 

ネットで注文してた本と雑誌が届く。

 

『架空の夫と』12月12日〜16日

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12月12日(月)


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架空の夫と一緒に、本棚の整理をするために一度所有している本を一か所に集めてみた。

本棚の新陳代謝はできたが、普段床に積んでた分の本が溢れて、本棚に収まらない。

仕方ないので、段ボールの中に一時避難させる。

 

明日はひとりで検査入院する。

不安を振り払えたらいいのだが……、と思いながら未読だった『ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。』(原田まりる/ダイヤモンド社)を一時間だけ読む。

 

 

12月13日(火)

 

コロナのため、ひとりで検査入院。

本を読もうと持ってきてたが、病室の生気を吸い取る雰囲気にやられ、速攻で寝た。

 

12月14日(水)

 

朝から下剤を飲む。昔は飲みづらかったが、最近の下剤は飲みやすくて全部飲みきれたし、腸内もきれいになった。

 

検査はなかなかに辛かったが、無事に終了。

夕方に退院する。

本は読めず。

 

12月15日(木)

 

病室で吸い取られた気力を回復するために、ずっと寝ていた。

今日も本は読まずに過ごす。

 

12月16日(金)

 

クリスマスも近いので、『週末は彼女たちのもの』(島本理生/幻冬舎文庫)を読む。

ストーリーも文章も美しいな、と惚れ惚れしてしまう。

そんな傍らで、架空の夫は家中のクリスマスの飾り付けをしていた。

私が幼稚園で作った松ぼっくりのミニツリーも飾ってあって懐かしくなる。

 

 

『架空の夫と』22.12.5~9


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12月5日(月)

 

朝から病院。

手術についてや入院についての説明を受ける。

架空の夫に付き添ってもらうが、帰り際に「お尻痛い(待合室の椅子に長時間座りっぱなしで)」と言っていた。ごめん。

待ち時間の間、読書しようと思って『嫌われる勇気』(岸見一郎・古賀史健/ダイヤモンド社)をカバンに入れていたが、結局1ページも読まなかった。

病院はなんだかそわそわしてしまって、本を読もうという気持ちにならない。

 

 

 

 

12月6日(火)

 

2時間ほど読書。

何度も読むのを挫折していた『嫌われる勇気』を読み進める。

集中して読書できたので、本もさくさく読める。

アドラー心理学は勇気の哲学。

私のことを「嫌う」のは他者の課題。

私は、私の課題を行うのみ。

適度な距離が大事なのだな、と架空の夫との距離感も改めて考える。

近すぎず、遠すぎずを心がけていこう。

 

12月7日(水)

 

集中力が著しく低下した日。

仕事も午後休をとり、寝込んでいた。

本は読めず。

 

12月8日(木)

 

朝から体の不調により、昼まで寝ている。

布団は寒いのに、部屋は暑く感じる。

架空の夫に、何度か空気の入れ替えとストーブの位置調整を頼む。

風邪薬を飲んでから、少し体が楽になる。

架空の夫が、電気毛布を布団の中に仕込んでくれた。ありがたい。

 

うとうとしつつも、『嫌われる勇気』の続きを読む。

人を叱るのも、褒めるのも認めないアドラー心理学

叱るのも褒めるのも「他者を操作しようとしている」ことらしい。

また、他者を「いいね」と上から評価するよりも、「ありがとう」「助かったよ」と対等な立場から感謝することが大事なのだと。

SNSの「いいね」に振り回される自分には、痛いほど響いた。

 

12月9日(金)

 

『本が語ること、語らせること』(青木海青子/夕書房)をぱらぱら読む。

 エッセイと本の処方箋が合わさった本。

 こういうの、好き。

『本の薬局』プロジェクトの参考にする。

 

 

 

 午前中は仕事も順調に進むが、午後は体調不良によりパフォーマンス落ちる。

 3時のおやつには架空の夫に、ミルクティーとシフォンケーキを用意してもらう。